ヘルスケア型診療とウィステリア

(ウィステリアProとアポイント管理職を使ってみよう! Ⅲ その1)
こんにちは。ニュースレターvol.12 no.1 から連載を始めた「ウィステリアPro とアポイント管理職を使ってみよう! II」の続編を久しぶりに再開します。
ウィステリアPro5.0 にバージョンアップされた会員もたくさんおられると思います。反面、新しく会員になられた方でウィステリアの名前を知っているけれど、どのようなソフトか知らない人もたくさんおられると思います。そこで今回の連載では、ウィステリアについてFileMaker®Proやネットワークの専門家の森一弘さん(アクセス代表)と一緒に連載することにしました。データベースソフトというと何か難しそうな気もしますが、この連載で身近に感じていただければと思います。

初回は、ヘルスケア型診療にどうしてウィステリアのようなデータベースソフトが不可欠なのかをお伝えしたいと思います。

病因論を理解する

私たちの学会(設立当初は研究会)では、設立当初から病因論に基づいた診療を基本にしてきました。図1 は2002 年のレビューコースでのスライドです。う蝕治療はう窩の治療ではなくて、脱灰と再石灰化のプロセスをコントロールすることが本来の治療です。う蝕のリスクは個人やライフステージによって変化するため、時間軸での継続したリスクコントロールが重要です。

歯周病は、歯槽骨の病気でもなく、歯根膜の病気でもなく、プラークのみで進行する病気でもありません。また、外来病原菌を駆逐すれば治る病気でもありません。日和見的な細菌と歯周組織とのバランスを一生維持することが求められている病気です。だからこそ、歯周基本治療をおこなった後、メインテナンスが不可欠です。このように、私たちが扱うべき疾患の病因論をしっかりと理解することが、ブレないヘルスケア型診療をおこなうための基本です(図2)。

私たちは人を診ている

病因論を理解して、治療を何かガイドに沿って行えば、すべてうまくいくかといえばそうではありません。その理由は、私たちが、年齢も感受性も性格も異なる人を診ているからです。長く診ていると、思わぬ全身疾患に罹患したり、結婚、就職あるいは退職など生活習慣が大きく変化することもあります。そういう患者を受け入れる気持ちとそれぞれに対応できる知識と
技術が求められます(図3)。

時間軸でのリスクコントロール

私たちが対応している疾患は、外科処置や投薬だけで解決できるものではなく継続してリスクコントロールが必要です。そのためには、歯科衛生士を中心としたスタッフが患者さんの現在の状況を問診などで常に把握しておかなければなりません。即ち、歯科医師だけでは解決できない歯科医療です。院長は、歯科衛生士を含むスタッフとチームを組んで、診療室全体で患者を受け入れるというシステムを構築することが求められています。患者の健康を守る強い意志を持つ院長と、十分な知識技術そして豊かな人間性を持つ歯科衛生士がチームを組むことで達成できます(図4)。
診療室全体で患者を受け入れるためには、当然、受付、歯科助手、歯科技工士などあらゆるスタッフが共通の目標に向かって努力する必要があります。
ここまではヘルスケア型診療の基本ですが、おそらくヘルスケア歯科学会以外でもこのような方針で診療されている医院は多いのではないかと思います。

経験の蓄積と検証

今年のヘルスケアミーティングでも取り上げましたが、図1でもわかるように当学会では設立当初から規格性のある記録を残し検証することが歯科臨床では不可欠だと考えています。これこそが私たちの学会が誇れるところだと思います。その検証のためのソフトがウィステリアです。
口腔内写真、X 線写真、その他の臨床データは患者への情報提供に非常に有効で重要であることは間違いありませんが、それだけでは意味がありません。自分たちが毎日おこなっている診療結果を検証してこそ効果があるのかないのかがわかりますし、問題点を見つけ出すことができます(図5)。
森さんが書いてくださっているように、ウィステリアはデータベースソフト(FileMaker Pro)のテンプレートとして開発されているので、これから後の連載でも紹介しますが、様々な条件で検索できるのが特徴です。

歯科医院の総合力

私たちが毎日おこなっている診療は二つに分けることができます。一つは、「過去のための治療」です。不幸にして罹患してしまったう窩や欠損、歯周病などを治療することです。そのためには、適切な診断と処置が求められます。いわゆる従来の修復治療です。もう一つが「未来への治療」です。発症予防のために患者のライフステージに合わせて様々なリスクを考慮してコントロールしていきます。生涯メインテナンスとも言えるでしょう(図6)。
「過去のための治療」と「未来への治療」をしっかりおこなうためには、毎日の努力と経験を積み重ねて、歯科医師とスタッフを合わせた総合力を高めていかなければなりません。そのためにウィステリアを活用していただければと思います。

図、表はこちらのPDFファイルをご参照下さい。